高齢化社会と福祉産業

毎年、敬老の日の近くになると、人口に占める65歳以上の高齢者の割合が発表されます。 総務省の発表では、およそ3100万人を超えています。 これは、統計を取り始めた時から現在までの過去最高の人口ということです。 また、日本の総人口に占める割合も、25.0%となっています。 実に4人に1人が65歳以上の高齢者というわけですね。

 

厚生労働省は、特別養護老人ホームへの入居の条件を要介護3以上まで引き上げ、厳しくしようとしています。 現時点では入居している高齢者のうち、約1割を要介護1~2の認定を持つ人たちが占めているという現状が背景にあります。 これには、年々増加する高齢者の人口と、入居している該当者に受給されている給付額の増加が、大きな影響を与えています。

 

特別養護老人ホームは、各自治体が運営しており、自治体の負担が大きいということもあげられます。 要介護の認定は自治体が認定し、認定を受けた高齢者が入居できます。

 

特別養護老人ホームを利用する高齢者1人に対して給付される給付額は、月額で約28万円となっています。 これに対して、同じ認定基準を持ちながら在宅で介護されている人に対しては、月額10万円の給付で済みます。 また都市部と地方との差が出ていることも大きい問題となっています。

 

都市部では、要介護の認定が高くてもなかなか施設に入れないという現象が起き、待機老人は、全国では40万人にも上っています。 本当に介護を必要としている人達が入れないという現象を解決したいということも、この背景にはあるかもしれません。

 

特別養護老人ホームへの入居資格を見直すことで、膨らみ続けている国や自治体の介護費用を抑制することが目的のようです。 国の介護費用抑制と、本当に介護を必要としている高齢者への福祉の問題が微妙に絡みあって、とても難しい問題のようです。

 

最近では、高齢者向けのサービスや施設が増え続けており、求人も増加してきています。

 

デイサービスなど民間の介護施設も増加しており、これからの時代に向けて介護関連産業は「倒産の危機のない産業」としてブームにまでなっています。 いつでも介護や看護関連だけは、求人難のようですね。 近くの民家がいつのまにか、デイサービスの施設に変わっていたことがありました。

 

施設は増加しますが、労働条件などの問題で、就職したけれどすぐに辞めてしまう人が多いことも事実です。

 

厚生労働省は、被災地3県に限り施設への人材を確保するために、介護施設に就職した人のために「就職支度金」と住宅手当を支給する方針です。 支度金は10万円、住宅手当は2万円を最長1年間支給するということです。 全額が国費で賄われるとのことです。

 

沿岸部の施設の中では、職員が辞めていくケースが多く、特に人出が不足してします。 この地域では、被災してからの仮設住宅生活で、介護が必要となった高齢者が多く出ているそうです。

 

入居する施設も人手も不足している、被災地3県の雇用と福祉産業の増加を期待しているようです。 福祉から3県内の経済が活性化され、安心して生活できることが約束されれば、また元のような地域の経済の発展が期待できるのではないでしょうか。